Q:ログインができません。
A:パスワードを忘れた場合、こちらでパスワードの再設定が出来ます。
こういうイマイチな Q&A、 マジで見かける!
本書は「質の高いFAQサイトを作成して、コールセンターのコストを下げよう」をテーマに、FAQの書き方から、FAQサイトのページ構成例を解説した書籍です。
本書に書かれている考え方は、そのまま「分かりやすい文章の書き方」や「ブログサイトの構成」にも当てはまる考え方と感じました。
興味深い解説でしたので、その一部を解説します!
ちなみに、上記のQ&Aの改善例は最後に記載しています。
ぜひ最後まで読んで、ただ答えを知るだけでなく「上の質問文は何がいけないのか」までご理解いただければと思います!
FAQで重要なのは”質問文”
本題の前に:FAQって何の略?
「Frequently Asked Questions」の略で、日本語にすると「よくある質問」となります。
実はFAQの中には、「回答」という意味は含まれていないのです。
しかし通常、FAQといえば「質問」と「回答」がセットで使用されることが多いです。
Q&A(Question and Answer)がたくさん集まって出来上がるのが、「FAQ」ということです。
ブログを書く私もそうなのですが、「気に入った商品の紹介」や「ソフトウェアのエラーの解決方法」の記事を書く場合、どうしても『この商品はここが良くて…』や『こうしたら解決できたよ!』と、Answer の部分ばかりに力を入れてしまいます。
「ブログに訪れる人」、本書内では「FAQサイトに来たユーザー」は、『何か知りたいこと』を抱えてサイトにやってきます。
そんな時、例えユーザーの知りたい答えがページの中にあったとしても、答えの場所にたどり着けなければ、不満は残ったままでユーザーは離れてしまいます。
また、ユーザーの「知りたいこと」は、まだ漠然とした状態であることが多いです。
そこでまず Questionでユーザーの悩みを言語化し、ユーザーの悩みを明確にします。
するとユーザーは、自信をもって言語化された「その Question 」を選び、「求めていた Answer を得て満足する」ということです。
これが「力を入れるべきは Answer ではなく、Question の方である」理由です。
質の高いFAQは、どんな文か?
質の高い Question を書くためには、以下の点に気を配る必要があると本書では解説されています。
良いFAQの書き方 より
- 一問一答にする
- 一意の文にする
- 6W1Hにする
- 分のかかり受けに気を遣う
- 用語、言葉遣いを統一する
- 短文化する
本書内では、上記6項目全てについて細かい解説がされています。
全てをここで書き出すと長くなってしまいますので、私も文章を書く上で特に気を使っている「2:一意の文にする」について、今回は解説を行います。
特に気を付けたい、「一意の文」
例えば、冒頭で出した下記のQ&Aをもう一度見てみましょう。
Q:ログインができません。
A:パスワードを忘れた場合、こちらでパスワードの再設定が出来ます。
『Q:ログインができません。』とは、どんな状況なのでしょうか?
Answer の記載から、作成した人は「パスワードを忘れた場合」を想定して作成していることが分かります。
しかし「ログインができません」だけでは、パスワードが原因ではない状況も考えられます。
例えば、以下のような状況が考えられます。
- ユーザー名が分からないから、ログインが出来ない
- パスワードが分からないから、ログインが出来ない
- アカウントを作ったことがあるか分からないから、ログインが出来ない
上記のどの問題を抱えた人も、「Q:ログインが出来ない」をクリックします。
そこで書かれている解決策が「パスワードの再設定方法」だけであれば、パスワードで悩んでいる人以外は「無駄足を踏んだ」と不満を持ってしまうわけです。
これを解決する方法は簡単で、「考えられる複数の状況」をそのままQuestionとして掲載すればよいのです。
すなわち、以下のような質問文になります。
Q:ユーザー名が分からないから、ログインが出来ない
Q:パスワードが分からないから、ログインが出来ない
Q:アカウントを作ったことがあるか分からないから、ログインが出来ない
上記の質問文のように「問題+解決案」の様式で Question を作成すると、ユーザーは自信をもって「その Question」を選択することができます。
「運営者目線」と「ユーザー目線」は違う
FAQサイト運営者目線だと、上記の質問は「同じような質問」が並んで目障りに感じるかもしれません。
しかしユーザー目線で考えるとどうでしょう?
「自分の悩み」と何となく合っている Question をクリックして Answer を確認。
期待した Answer が無かったので、ブラウザの「戻る」ボタンを押して Question のページに戻る。
そしてあるかも分からない、悩みを解決できる Answer を求めて、また Question を探す……。
こんな無駄なことを繰り返すくらいなら、同じようなQuestionが続いていようが、ユーザーとしてはこっちの方がいいとは思いませんか?
カテゴリ分けも「ユーザー目線」で分かりやすく
作成された Question は、何らかの「カテゴリ分け」がされた状態でFAQサイトに掲載されることになります。
そのカテゴリ分けも「ユーザー目線で分けることが大事」だと、本書では解説しています。
いい例えが思い浮かばないので、本書に記載されている「キリンのカテゴリを考える」例をそのまま引用します。
(カテゴリ項目名は本書より引用、説明用の画像は自作しました)
悪いカテゴリ分けの例(良いFAQの書き方 より)
良いカテゴリ分けの例(良いFAQの書き方 より)
前者は、分かりづらいですね。(っていうか第一階層から読めない……。)
後者であれば、少し悩みつつもキリンを見つけ出すことが出来そうです。
作成する立場の人は「その物ごとに詳しい」場合が多く、「正しさ・正確さ」を基準にカテゴリを作成してしまいがちです。
その結果、「分かる人には分かる」カテゴリ分けが完成してしまいます。
しかしユーザーが求めているのは、後者のような「分からなくても探せる」カテゴリ分けです。
同様にFAQでもブログでも、そのサイトにやってくる人は「答えが分からないから探しに来ている」と考えるべきです。
- このQuestionは、この悩みの人に見つけてもらう為に、ここにカテゴライズしよう
- この記事は、こういう悩みを持ってる人に見てもらいたいから、ここにカテゴライズしよう
このように、「分からない人を導くこと」を頭に入れたうえで、カテゴリ分けを決めることが大切です。
質の高いFAQの例文を知って、質の高い文章を書こう!
本書は247ページありますが、その内120ページ近くが「質の高いQ&Aの書き方の解説」に割かれています。
その解説も以下の順番で記載されており、1つ1つが非常に分かりやすくなっています。
- 良くないFAQの例
- このケースでの問題点
- 改善ポイント
- 同じような問題文のBefore、After
- まとめ
- 応用問題と解答例
解説としては非常に分かりやすいのですが、悩ましいのは「同じパターンでの解説の繰り返し」で終盤は読み飛ばしがちになってしまうことです……。
例文が豊富に記載されているため、手元に置いておいて「書き方に困ったときに、良い例文がないか探す」という使い方がオススメです!
これで良い書き方が思いつかず、書いては消しての無駄な時間が少しでも減らせます!
冒頭のQ&Aの改善例
最後に、冒頭のQ&A(良くないFAQ)と、その改善例を書いて終わります。
良くないFAQ
Q:ログインができません。
A:パスワードを忘れた場合、こちらでパスワードの再設定が出来ます。
改善したFAQ
Q:パスワードが分からなくなったので、新しいパスワードを設定する方法を教えて。
A:こちらで新しいパスワードを設定することが出来ます。
この『Q:ログインができません。』の 【Answer】と【改善したFAQ】は、この記事を書くにあたり私が考えました。
というのも、本書内でも例文として『Q:ログインができません。』が出てくるのですが、序盤に出てくるため、あまり良くない Answer が書かれています。(読んで確認してみてください)
あまりの出来の悪さに「例としても相応しくない」と考えたので、『良くないFAQ』の【Answer】を作成し、さらに【改善したFAQ】は本書で学んだことを意識して作成しました。
この記事の紹介では「Question の書き方」に注目して紹介しましたが、「Answer の書き方」にもコツがあります。
そして上記の改善したFAQには、本書に書かれている Answer のコツを利用して作成しました。
本書を読めば、良いFAQが書けるようになるだけではなく、「分かりやすい文章を書く技術」が1つ上がります!
ぜひ手に取って読んでみてください!
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自分だけに話しかけてくれる吐息に耳がゾクゾクします。