Quest3が到着して一通りのコンテンツは試したので、初期バージョンでの感想を書き留めておきます。
VR初心者にも分かりやすいよう細かい性能の話はせず、使用感を重視してレビューしました。
なお当方はQuest2ユーザーだったため、レビュー内容は「Quest2と比較してどうか?」という視点がメインとなっています。
特に初めてのVRゴーグル に Quest2とQuest3 どちらを買うか 悩んでいる人は、参考になると思います。
あわせて読みたい!
メタクエスト3の感想【総評】
コスパが際立つQuest2、進化を感じるQuest3
「MRに力を入れた結果、VRゴーグルとしては課題が目立つ製品となった」が正直な感想です。
Quest3を使ったことで、Quest2のコスパの良さを再認識しました。
別のVRゴーグルを触ったことがある人ほど、「VRゴーグルだけでここまで出来る」ことに価値を感じられると思います。
お金に余裕があるならば「全てが進化したQuest3がおすすめ」ですが、Quest2でもVR・MRは一通り体験できます。
Quest3は「進化を感じられる」VRゴーグルであるため、Quest3で初めてVRを体験する人は「進化を感じる」ことができず、価格に対するコスパの悪さを感じるかもしれません。
Quest3での体験はよりリッチでしたが課題も多く、「Quest2との価格差:42,900円(128GBモデル)の価値があったか?」を考えると、私はそこまでには感じませんでした。
+1万5千円程度であれば、初心者の方にもQuest3を推奨しました。
今後のアップデートで、気になった点が少しでも解消されることを期待します。
MRはこれから、カラーパススルーは不満点が目立つ
Quest3目玉の「MR体験」は凄かったですが、私はQuest2でも体験済みです。
カラーになったことで没入感は上がりましたが、初めてMRを体験したときほどの感動はありませんでした。(=Quest2とQuest3で体験に大きな違いはない)
Quest3のカラーパススルーを通して周囲を見ると、現実とコントラストが異なるため違和感があり、「現実と同じよう」には見えません。
ただし5分10分パススルーを使っていると違和感はなくなってくるため、Quest2と比べるとパススルー性能の向上は大きなものです。
違和感は無くなりますが、手元を見ると映像が歪みます。
その「現実ではありえない現象」に酔いそうになります(慣れが足りないだけかも)
「手元が歪む」ってこんな感じ
アップデートで改善された
バージョン66にて、手元の歪みが改善されました。
全くなくなったわけではありませんが、スマホなどはかなり見やすくなりました。
パススルーの見え方は部屋の明るさが重要!
できるかぎり部屋を明るくしてパススルーしましょう!
現状だとMRおよびカラーパススルーの使用に、次の4点を不満に感じました。
MR・カラーパススルーの不満点
- MRコンテンツ不足
- MRを使った演出が単調
- カラーパススルーの電池消費の大きい
- カラーパススルー時に近くの物が歪む
Quest2を使用していたとき、『パススルーに対応したソフト』は「壁や家具の激突防止」を目的にパススルー状態でプレイしていました。
しかしQuest3ではカラーパススルーを使うとあまりに早く電池がなくなってしまうので、Quest2と比べてパススルーを使うことをためらうようになりました。
電池持ちも改善
発売当初と比べると、カラーパススルー時の電池持ちもアップデートで改善されています。
ただし、パススルー時の大幅な電力消費が無くなっただけで、そもそもの稼働時間が短い点は大きく変わらずです。
何をするかにもよりますが、2時間半~3時半程度が目安です。
裏技的方法で内部解像度なども下げ、ゴリゴリに低電力設定にして2Dゲーム(非VRゲーム)を遊んだところ、満充電から0%まで約5時間稼働しました。
あわせて読みたい!
激突防止目的であれば、Quest2の白黒パススルーで十分だったと気付かされました。
【レンズ直撮りでのパススルー表示の比較】(Eleven Table Tennis より)
色味でコンテンツに集中できるので、家具や壁を無視したMR表示ならば、Quest2の方がむしろ良いまである
一方、表示させることが目的のMRアプリであれば、Quest3に軍配が上がります。
【レンズ直撮りでのMR表示の比較】(Uni Live Viewer より)
Quest3での存在感は、ゴーグルを外した時に「何もない」ことに寂しさを少し覚えるレベル
【おまけ】奥行判定の重要さが分かる動画 [1:33ごろ]
(本体機能で録画した映像)
本体に深度センサーがあってもアプリ側で対応してなければ、奥行きの判定無く表示物は全て最前面に表示されます。
そして対応アプリは少ない……
あわせて読みたい!
レンズの改良で映像品質が向上!
Quest3最大のメリットと感じたのが、映像品質の向上です。
Quest2のフレネルレンズは網目が目立つレンズであり、ゴーグルが少しズレただけで映像がボヤけていました。
Quest3はパンケーキレンズで表面がツルツルになり、ゴーグルがズレてもぼやけることなく高解像度の映像体験ができるようになりました。
この点においては、Quest3に買い替えて本当に良かったと感じます。
メタクエスト3【評価】
項目ごとに分けて、さらに細かくQuest3の感想を述べたいと思います。
上記の総評と内容が重複する点もありますが、ご容赦ください。
Quest3本体:良いところも気になったところもあり
気になったところ
本体部分がスリムになりましたが、本体の重量はほぼ変わらないため、スリムになった恩恵は感じませんでした。
またフェイスクッションの鼻の先端部の開きが大きくなったため、ふとした時に外の様子が目に入りやすくなりました。
この変更点は、VRゴーグルとしてはマイナスだと思います。
カラーパススルーがあるんだから、むしろすき間は小さくしてくれよ!
さらに本体の大きな変更点として、以下の2点が挙げられます。
本体の変更点
- 無段階のIPD(レンズとレンズの距離)調整ができるようになった
- メガネスペーサーが不要になった
無段階のIPD調整ができるようになった
無段階のIPD調整は、自分の正確な「目と目の距離」を知らないと、「正しい位置で合っているか?」で悩みやすくなったというデメリットもあります。
ただ、それ以上に「合わない人は絶対に合わない」という大きなデメリットがなくなった、嬉しい変更点です。
メガネスペーサーが不要になった
メガネスペーサーが無くなり、カバー部分が4段階で奥行を設定できるようになりました。
私はメガネ民ですが、奥行きを一番狭く設定してもメガネがレンズに当たることはありませんでした。
裸眼の人にとっては距離が空きすぎて、もったいない気もします……
なお入るメガネの大きさは、Quest2よりも余裕が持てるようになりました。
Quest2での、Meta公式発表の対応メガネサイズは以下の通りです。
使用出来るメガネのサイズ(Quest2)
- 幅: 142mm以下
- 高さ: 50mm以下
Quest3は「フレームサイズが平均的であればメガネをかけてMeta Quest 3を使用できます」としか案内されておらず、具体的な数値が明示されていません。
ただ試したところ、Quest2では入らなかったメガネもQuest3では入れることができたため、極端に大きいメガネでなければ問題なく使えそうです。(146mm程度までいけそう?)
高さについても、Quest2よりも余裕があると感じました。
スピーカー:4つに増えて臨場感アップ
Quest2でもプレイしたゲームをQuest3でやり直して、初めに感じたのが「低音が良く聞こえる」でした。
Quest2では左右1つずつ2か所だったスピーカーが、Quest3では左右2つずつ4か所に増えました。
音響について詳しくないので細かいことは言えませんが、変更に対するマイナスポイントが見当たらない、嬉しい変更点です。
音の立体感?も増したような気がします!(プラシーボ効果かも)
ストラップ:安定感はアップ、装着感は変わらず
ストラップは「I字型」から「Y字型」に変わり、激しく動いた時にゴーグルがズレにくくなり、安定感が増しました。
ただしQuest2同様、締め付けて固定する方式は同じのため、装着感に大きな違いは感じられません。
Quest2と変わらず、長時間使用するなら交換用ストラップが欲しいところです。
あわせて読みたい!
コントローラ:小さく軽くなったが、性能は大きく変わらず
コントローラは大きく、以下3つの大きな進化を遂げました。
コントローラの進化
- 軽く動かしやすくなった
- 輪っかが無くなった(コンパクトになった)
- 電池カバーに開閉ボタンがついて、電池交換がしやすくなった
形状が変わっても、コントローラの位置はしっかり追跡してくれており、普通にゲームをプレイする分には困ることはありませんでした。
私は感じませんでしたが、「コントローラの追跡が悪くなった」という意見も聞きます
なおQuest2経験者ならではの不満点として、輪っかがなくなったことで「輪っかを使って立てて置く」「輪っかを指にかけてコントローラを手放す」ができなくなりました。
この輪っかをよく使っていたので、輪っかなしに慣れるまでが大変でした……。
見え方:大幅な改善でQuest3最大のメリット
話題のMR体験よりも、美しくなった映像に最もQuest3のメリットを感じました。
ゴーグルを覗いた時に「ハッキリ映像が見える範囲(スイートスポット)」が広くなりました。
スイートスポットが広くなったおかげで、VRゴーグルが頭から少しズレても映像があまりボヤけなくなりました。
さらに発色もQuest2より良くなり、見えている範囲全てが鮮やかに見えるようになりました。
Quest3に最適化されたVRゲームはもちろん、そうでないゲームも「レンズ」「解像度」「スイートスポット」の改善により、Quest2よりキレイに見えます。
これは動画を見るとき、メタバースで遊ぶとき、PCVRをプレイするときも全て同じです。
この1点において、Quest3を経験するとQuest2に戻りたくなくなります。
唯一の欠点として、負荷軽減のため中心以外の解像度を落としているゲームは、解像度が落ちた部分もよく見えるように……
自動ガーディアン:未来感はあるが、使い勝手は微妙
Quest2ではプレイエリアを自分で床に描く必要がありましたが、Quest3では見回すだけでプレイエリアを作成してくれるようになりました。
ただし自動で作成されるプレイエリアは障害物を全て避けるので、「中空は使えるのに……」(ゴミ箱の上など)という場所にもガーディアン(プレイエリア境界線)ができることになります。
安全性を考えると正しい仕様ですが、部屋が狭い身としてはすぐガーディアンが表示されて没入感が削がれてしまうので、結局手動でプレイエリアを設定して使っています……。
勝手知ったる自分の部屋なので、私は障害物や壁を無視して部屋を包むようにプレイエリアを設定しています
ガーディアンと同様に天井や壁・家具も自動で認識されるようになりました。
ただしこちらも「置いているティッシュ箱」や「干している洗濯物」など、全て障害物として認識します。
部屋のスキャンは一度行うと本体設定から自分で再スキャンするまでそのままのため、現実でモノを移動させても、MR上では「障害物」として物体判定が残り続けることになります。
【洗濯物が障害物と判定された例】(First Encounters より)
部屋状況を正しく認識させないとMRでの没入感は下がるため、MR対応ゲームでは起動のたびにスキャンするかしないかの選択肢を出してくれればいいのにと思いました。
(2023年12月14日 追記)
MRモード起動時に「再スキャン」するか、尋ねるゲームが増えてきました(サンバDEアミーゴ など)
手動での家具設定もできますが、スキャン設定と併用はできません。
手動とスキャンが併用できたら、固定家具は「手動」、小物は「スキャン」ができるのに…
カラーパススルー:進化は感じるが、課題あり
カラーパススルーは、Quest2の白黒パススルーを経験していると「ついにカラーに!」という感動があります。
しかし肉眼で見たときと比べると鮮明さや色合いが異なり、「現実と同じよう」とは私は思いませんでした。
MRコンテンツをプレイする分には十分な解像度ですが、近くが歪んで見えてしまうため、スマホなどの文字は「読めるけど長時間は厳しい」という状態です。
スマホを近くに持ってしまう人は、歪みやすいので特に注意です
ネット上に公開されているMR映像など本体で録画したMR映像は歪みがなくなるため、Quest3で見たとき以上に良い映像に見えます。
Quest3で初めてのパススルーを経験する人は、低解像度かつ歪んで見える景色に「こんなもの?」と期待外れに終わるかもしれません。
またカラーパススルーを使用すると電池の消費が激しいのも、大きなマイナス点です。
カラーパススルーを使わなければ、Quest2と同じ3時間ほど使用できましたが、カラーパススルーを使っていると2時間ほどで電池が無くなりました。
電池の減りが早すぎて、ヘビーユーザーとしてはカラーパススルーの使用を少しためらうレベルです……。
Apple Vsion Proが発表されたとき「稼働時間の短さ(2時間)」が話題になりましたが、Quest3もパススルー使用メインだと同程度です……(現在のMR性能の限界?)
MRコンテンツ:コンテンツが少なく、なんちゃってMRも多い
カラーパススルーを活かしたMR体験は、Quest2の白黒パススルーと比べると没入感は大きく挙がっていました。
初期インストールされているMRゲーム「First Encounters」では、壁が崩れて奥に世界が広がる演出があります。
私は壁が崩れる演出があるゲームはQuest2で体験済みで、初めての時はとても感動したことを覚えています。
それがQuest3のフルカラーパススルーだと、崩れた壁の奥に手を延ばしたくなるほど違和感なく現実と融合するようになりました。
実際に手を伸ばすと、安全のため「現実の壁」が表示されてしまうのですが…
ただ現状はMRらしいゲーム・アプリが少なく、VRゲームにパススルーが設定できるようにしただけで「MR対応」とされているコンテンツが多いです。
VRゲームのパススルー化は「安全への配慮」としてはありですが、キャラクターが壁や家具に平気でめり込み没入感が大きく下がるため、安易なMR化は考え物です。
上記はあえて悪く見せた例ですが、部屋が狭いとマジでこうなります。
便利だけど違和感が勝って「没入感」は大幅ダウン……
せっかくの深度センサーも活かされているアプリはほとんどなく、MRを活かした演出は壁や天井が壊れるものばかりで、飽きが早い状況です。
どのようなMRを活かしたアプリが出てくるか、今後の発展に期待です。
あわせて読みたい!
その他に気になった点
その他、Quest2からQuest3に変わり気になった点を簡単にピックアップします。
総評・評価に書いたこと以上に個人差が大きい内容が含まれますので、「そんな意見もあるんだなぁ」くらいに聞いてください。
「はじめてのQuest 2」の案内がない
Quest1・Quest2でVRのチュートリアルゲームとして活躍した、「はじめてのQuest 2」の案内がQuest3では一切ありません。(初期インストールはされていました)
「はじめてのQuest 2」では、Quest共通のガーディアンシステムやコントローラの基本操作の説明、「VRでどんなことができるか」を一通り体験することができます。
このチュートリアルゲームの存在が、初心者にQuestを勧める最大のポイントだったのに、何の案内もない点が残念です……。
初めてVRゴーグルを使うなら、MRゲーム「First Encounters」よりも、VRゲーム「はじめてのQuest 2」が絶対に先!
「はじめてのクエスト2」は、右下のアプリライブラリからプレイできます。
「はじめてのクエスト2」の案内がない時点で、「Quest3はVR経験者向けの製品なんじゃないかなぁ」なんて思ったりします。
ユーザー作成コンテンツに強くなった
私が使っていたQuest2では、『VRChat』においてエラーやバグが頻発していました。
頻繁に遭遇したVRChatのバグ
- エラーワールドに飛ばされる
- 起動直後のホームワールドで必ずメモリ不足が発生
- 自分の姿がミラーに映らない(スリープ復帰後に頻発)
Quest3を使い始めてまだ1週間も経っていませんが、後ろ2つのエラーには今のところ遭遇していません。(エラーワールドには1度飛ばされた)
またユーザーが作成したオブジェクトを呼び出すMRアプリ『Figmin XR』でも、Quest2と比べて動作が軽快になりました。
Quest2→Quest3での性能の向上は、「ユーザー作成コンテンツ」を扱うアプリにおいては、メリットしかありません。
今後「Quest2では処理落ちが発生して、満足に体験できない」ユーザー作成コンテンツも出てくるでしょう
ファンの音が激しくなる時がある
Quest2では全く気にならなかった、ファンの音が常に聞こえています。
周囲で音が流れていれば全く気にならない、本当に小さな音です。
さらにこの音は、重い処理を行ったあとなど、音が大きくなる時があります。
音に敏感な人には、動画の静かなシーンやVR睡眠するときに気になるかもしれません。
(2023/12 追記)
アップデートで修正されたか、私が慣れてしまったか、最近は全く聞こえなくなりました。
VRにハマっているならば、Quest3の7万5千円はむしろ安いのだが…
「Quest3は絶対に買うな!」と言うほど、外れの製品ではありません。
むしろQuest2より映像が美しいという点だけで、「Quest2とQuest3どちらがおすすめか?」と聞かれたら、迷うことなく「Quest3」と答えます。
それだけVRにおいて、「映像の美しさ」は重要なのです
ただ【MR周りが微妙なこと】や【Quest2とQuest3の価格差42,900円(128GBモデル)】を考えると、「初めてのVRゴーグルには、絶対Quest3を買うべき!」とは私は思いません。
VR初心者は、Quest3を買うお金で「Quest2」+「交換ヘッドストラップ」+「好きなゲーム2,3本」買って、余ったお金でおいしいもの食べた方が満足できると思っています。
VR自体に向き・不向きが大きいため、Quest2やQuest3を店頭デモやレンタルなどで体験し、「VRコンテンツをどこまで楽しめるか?(VR酔いなどの適性を含む)」を確認した上で購入することを強くおすすめします。
なおQuest2からQuest3の買い替えが目的であれば、急ぐ必要はありません。
使用中のQuest2の調子が悪くなったタイミングで、Quest3に乗り換えるか、Quest2を買い直すか考えるとよいでしょう。
あわせて読みたい!
VRを本気で楽しむ覚悟のある方はQuest3
世界一売れた高コスパなQuest2
おすすめの記事
ASMR音声は「耳で楽しむVR」(無料作品もあります)
\ バイノーラル録音のASMRで存在を感じよう♪ /
『ぼっち・ざ・ろっく』後藤ひとり 役 青山吉能さん出演のASMR。
自分だけに話しかけてくれる吐息に耳がゾクゾクします。