
発表当初は「Meta Questに代わるVRゴーグルの新しいスタンダード機」と期待されていたSteam Frameですが、様子が怪しくなってきました。

Valveの公式発表や海外コミュニティの調査などで明らかになってきた情報を踏まえて、「Steam Frameの発売を待つべきか」を解説します。
私自身の意見も「Steam Frameを待つべき!」から「待たなくていい人もいる」に変わりました。
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結論:Steam Frameを待つべき人・待たなくてもいい人
先に結論をお伝えします。
待つべき人
- 接続型VRゴーグルの購入を検討している人
- MetaやByteDance(Picoの親会社)が嫌いな人
- VR以外の理由でSteam Frameが気になっている人
→「Valve製品だから」「パソコン代わりに使うつもり」など
待たなくていい人
- とにかく「今」VRに興味がある人
- スタンドアロンでの使用も考えている人
- ゲーミングPCを持っていない、持つ予定のない人
待つべき人に該当しないなら、今すぐVRゴーグルを購入してもいいです。
なぜこの結論に至ったのか、Steam Frameへの期待と実情を踏まえて解説します。
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Steam Frameが期待されていた理由
なぜSteam Frameが「これからの新しいスタンダード機」と言われるほど期待されるVRゴーグルになったか、その理由を3つ紹介します。
Steamライブラリ全体への対応
Steam Frameが期待される最大の理由は、「Steamライブラリ内のすべてのコンテンツに対応」と発表されたからです。

「Steamで購入したゲームが全部パソコンなしで遊べる!」。これだけで、Steam Frameがどれだけ魅力的なVRゴーグルか分かるでしょう。
アイトラッキングカメラ搭載
視線を追いかける「Foveated Rendering」(視線方向のみ高精細に描写する技術)が搭載されると発表されました。

「PCVRをスタンドアロンで遊ぶのは無理では?」と疑っていた人も「Foveated Renderingを使えばできるかも!」と期待させました。また、VRChatをプレイするユーザーからは、アイトラッキング対応VRゴーグルとしての期待も集まっていました。
Foveated Rendering(フォービエイテッド・レンダリング)……見ている中心部分のみ高解像度で描写し、周辺を低解像度にすることで描写負荷を大幅に軽減する技術
Quest3・Pico4 Ultraを超える性能
| 項目 | Steam Frame | Meta Quest 3 | Pico 4 Ultra |
|---|---|---|---|
| SoC | Snapdragon 8 Gen 3 | Snapdragon XR2 Gen 2 | Snapdragon XR2 Gen 2 |
| メモリ(RAM) | 16GB | 8GB | 12GB |
| ストレージ | 256GB / 1TB(microSD最大2TB) | 512GB | 256GB |
| OS | SteamOS(SteamOS 3ベース) | Androidベース(Meta OS) | Androidベース(Pico OS) |
| ディスプレイ | 2×LCD、片目 2160×2160 | 2×LCD、片目 2064×2208 | 2×LCD、片目 2160×2160 |
| リフレッシュレート | 72–120Hz(試験的に144Hz) | 72/90/120Hz | 最大90Hz |
| 視野角(FOV) | 水平 110° / 垂直 110° | 水平 110° / 垂直 96° | 水平 105° |
| レンズ | カスタムパンケーキレンズ | パンケーキレンズ | パンケーキレンズ |
| IPD調整 | 60–70mm | 58–71mm | 58–69mm |
| 総重量(前後) | 約440g(前185g/後255g) | 約515g(前465g/後50g) | 約580g(前304g/後276g) |
| パススルー | モノクロ | フルカラー | フルカラー |
| アイトラッキング | あり | なし | なし |
| 無線 | Wi‑Fi 6E(PCストリーミング専用)、 Wi‑Fi 2.4/5GHz、Bluetooth 5.3 | Wi‑Fi 6E、Bluetooth 5.2 | Wi‑Fi 7、Bluetooth 5.3 |
スペック表を見ると、Steam Frameは現行のスタンドアロンVRゴーグルのQuest3・Pico4 Ultraと同等かそれ以上の性能を持っています。またmicroSDカードスロットや拡張ポートを備えており、サードパーティによる拡張機能にも期待が寄せられています。
唯一、Quest3やPico4 Ultraと比べて明確に劣っている点は、パススルーカメラがモノクロな点です。ただしこれには「MRを捨てて、抑えるべきところでコストを抑えた」と評価する声もあります。
明らかになってきたSteam Frameの実情
Steam Frameの高い期待とは裏腹に、Valveから出される情報から察するに、「理想を詰め込んだVRゴーグル」とはいかない実情が見えてきました。
スタンドアロンでの高画質PCVRは厳しい?
海外のコミュニティより「一部VRゲームタイトルにおいてSteam Frame用のゲームファイルがダウンロードできた」との報告が出ています。ファイルの拡張子は「APK」で、これはQuest3やPico4 Ultraで使われるものと同じAndroid OS用のファイル形式です。
このことから、Steam Frame単体で動作するVRゲームは、Quest3やPico4 Ultraと同じグラフィックではないかと推測されています。
Steam Frame用APKをQuestで(無理やり)動かしている動画
Foveated RenderingがあってもPCVR用グラフィックがゲーム内になければQuest3・Pico4 Ultraと同じグラフィック…
なお、Steam Frameで快適に動作するVRゲームには「Great on Frame」の認証が与えられますが、この記事の作成時点ではわずか32タイトルしかありません。

多くはQuest1・2時代に活躍したタイトルです。もしPCVRがそのままSteam Frame単体で動作するゲームがあったとしても、それらはグラフィックを重視しないゲームがほとんどでしょう。
また、現時点では噂レベルですが、『Beat Saber』はグラフィックの問題でSteam Frameは非サポートになるとの話があります。
公式のサポートがないだけで、Steam Frame単体でも「普通に動く」と予測していますが…
(Steam Deckでも動くらしいので)
同じく人気VRゲームの『Blade & Sorcery』は、性能を理由にSteam Frameスタンドアロンでの動作は「非サポート」と公式に発表されました。(PCからストリーミングしてのプレイは可能)
QuestとPico4でもBlade & Sorceryはリリースされていますが、こちらは『Blade & Sorcery Nomad』とスタンドアロン用に調整された別ゲー扱いになっています。Steam Frame用に『Blade & Sorcery Nomad』がリリースされるかは現時点では不明。
Steam Deckで非認証ゲームもプレイできるように、「Great on Frame」の表示がなくとも動作するゲームはあるでしょう。しかし認証があっても無くても、期待している「高グラフィックのPCVRをスタンドアロンでプレイできる」は現実的ではないというのが実情でしょう。
あくまでSteam Frame単体でのVRはオマケで、VRがやりたい時はパソコンと接続してプレイする……と思っていた方がよさそうです。

VRChatでアイトラはできない可能性がある
アイトラッキングカメラがあるからといって、VRChatで使えるかはまた別の問題です。Steam Frameのアイトラッキングカメラは「視線を追従(Foveated Rendering)するためのもの」であり、「表情を認識するものではないかも」という指摘が出ています。
この指摘に近い例として『PSVR2』があります。PSVR2をSteamで使用できるPCアダプターがソニー公式より発売されましたが、視線トラッキング機能は使用できませんでした。アダプターの発売から約1年後、有志によりアイトラを可能にするModが公開され、現在は使えるようになりました。
Steam FrameもPSVR2と同じ流れを辿る可能性があります。そうなれば、アイトラもできるようになるかもしれませんが、あくまで非公式の機能という位置付けになる点には注意が必要です。
VRChatはAndroid版で確定
Steam Frame用にビルドされたAndroidエディションのVRChatが、海外コミュニティにより確認されています。
ただし現時点ではこのVRChatを起動しても「This build isnt ready yet」と表示されてログインできず、詳細は分からないとのことです。

これがPCVRワールドにも入れる「Steam Frame用の特別なAndroid版VRChat」だったり、あるいはAPKを無視してPC版のVRChatが起動できれば、Steam Frame単体でVRChatも実現するのですが……続報に期待しましょう。
後者はできると予測していますが…(ただし快適に動作するかは別問題)
発売延期と不明な価格
発表当初は「Steam Controller」「Steam Machine」「Steam Frame」の3機種が同時発表され、同時期に発売されるものと思われていました。しかし昨今のメモリ高騰を受けてSteam Frameのみ発売が「2026年初頭」→「2026年夏」と延期されました。
価格については、メモリ高騰前のインタビューで「Indexより安価にしたい」とあったため、現状ではそれ以上の価格になるとも推測されています。
Valve Index…Valve(Steamの会社)が過去に発売していたPC接続型のVRゴーグル。999ドル。
Quest3もPico4 Ultraも値上げして10万円以上になりましたからね。
999ドルで約15万円、それ以上となると…
Steam Frameの発売後にしか分からない重要な要素
スペック表からは分かりませんが、私がこれまで数々のVRゴーグルを使ってきた経験から、Steam Frameの中で気になる重要な要素を3つ紹介します。
重量バランスと装着感
Steam Frameの総重量は「440g」と言われており、これはQuest3の515gより約70g軽く、Pico4 Ultraの580gと比べると100g以上軽いです。しかしVRゴーグルにおいて重量よりも「重量バランス」が重要です。
Quest3とPico4 Ultraの重量だけ見ると、Quest3のほうが軽く快適に使えるように思えますが、実際に被り比べると「Pico4 Ultra>>>>>Quest3」と言っても過言ではないほどPico4 Ultraが快適です。これはQuest3の重量(前465g/後50g)が大きく前面に片寄っているのに対し、Pico4 Ultra(前304g/後276g)はバッテリー部分を後頭部側に配置して前後の重量バランスを取っているためです。
Steam Frame(前185g/後255g らしい)も後頭部側にバッテリーを配置しており、装着感はPico4 Ultraに近い快適さがあると推測されます。ただし発売するまで実態は分からないので、気になる方は発売後のレビューを待ちましょう。
スイートスポットの広さ
スペック表では分からない、もう1つの重要な要素が「スイートスポット」(鮮明に見える範囲)です。
私がQuest3を初めて体験したとき、そのスイートスポットの広さに驚かされました。このスイートスポットの広さに比べたら、Quest3の目玉機能「カラーパススルー」なんてどうでもいいと言っても過言ではないレベルです。
一方、高画質で有名なPimax Crystal Lightを初めて体験したときは、そのスイートスポットの狭さにガッカリしました。VRゴーグルが少しズレると結局ぼやけた映像になってしまうため、「高画質」の強みを帳消しにするレベルのガッカリ体験でした。

スイートスポットの話は発売されるまであまり表に出て来ません。重量バランスと同じく、気になる方は発売後のレビューを待ちましょう。
Steam Frameが単体でどこまでゲームを遊べるかも未知数
Steam Frameは「Proton」という互換レイヤーを使って、SteamOS上でWindowsゲームを動かします。これはSteam Deckと同じ仕組みです。あくまで互換で動作させているため、VR・非VRゲーム問わず、すべてのゲームが完璧にプレイできるとは限りません。
少なくとも、ProtonDBにてスコアが「BORKED」になっているゲームは、Steam Frameでも動作しないと覚悟しておいた方がいいでしょう。
とはいえProtonDBのSteam Deckを見る限り、心配する必要はほとんどなさそうですが…
Protonを使ってみる
実はAndroidでもProtonを使い、Windowsゲームを遊べるアプリがいくつか出ています。(参考記事 / 参考動画)
『WinlatorXR』や『GameNativeXR』などVRゴーグルに特化したProtonを使ったアプリも出ており、これらを使えばQuest3やPico4 UltraでもSteamライブラリにアクセスして2Dゲームがプレイできます。(現時点ではPCVRゲームは不可)

Proton前提に作られたデバイスではないため動作しないゲームも多いですが、「Steamのゲームを大画面で遊んでみたい!」と思う方は試してみてください。
Proton系のアプリを試すなら、Quest3よりPico4 Ultraの方がメモリが多いだけ有利です
Steam Frameは「中途半端なVRゴーグル」になるのか?
ここまでどちらかと言えば悪い推測が多かったですが、すべては価格次第です。
スタンドアロン型VRゴーグルとしてQuest3 や Pico4 Ultraと張り合うなら、10~12万円の価格が絶対条件でしょう。
| 項目 | Steam Frame | Meta Quest 3 | Pico 4 Ultra |
|---|---|---|---|
| SoC | Snapdragon 8 Gen 3 (4nm) | Snapdragon XR2 Gen 2 | Snapdragon XR2 Gen 2 |
| メモリ(RAM) | 16GB | 8GB | 12GB |
| ストレージ | 256GB / 1TB(microSD最大2TB) | 512GB | 256GB |
| OS | SteamOS(SteamOS 3ベース) | Androidベース(Meta OS) | Androidベース(Pico OS) |
| ディスプレイ | 2×LCD、片目 2160×2160 | 2×LCD、片目 2064×2208 | 2×LCD、片目 2160×2160 |
| リフレッシュレート | 72–120Hz(試験的に144Hz) | 72/90/120Hz | 最大90Hz |
| 視野角(FOV) | 水平 110° / 垂直 110° | 水平 110° / 垂直 96° | 水平 105° |
| レンズ | カスタムパンケーキレンズ | パンケーキレンズ | パンケーキレンズ |
| IPD調整 | 60–70mm | 58–71mm | 58–69mm |
| 総重量(前後) | 約440g(前185g/後255g) | 約515g(前465g/後50g) | 約580g(前304g/後276g) |
| パススルー | モノクロ | フルカラー | フルカラー |
| アイトラッキング | あり | なし | なし |
| 無線 | Wi‑Fi 6E(PCストリーミング専用)、Wi‑Fi 2.4/5GHz、Bluetooth 5.3 | Wi‑Fi 6E、Bluetooth 5.2 | Wi‑Fi 7、Bluetooth 5.3 |
| 特徴 | パソコン不要で全Steamライブラリへのアクセス | 現行No.1VRゴーグル | 優れた装着感とお手軽フルトラ |
| 価格 | (未発表) | 102,300円(512GB) | 104,900円(256GB) |
20万円超えの価格帯になってくると、接続型のVRゴーグルであるPimax Dream Air SE や BigScreen Beyond 2eなどがライバルになってきます。
| 項目 | Steam Frame | Pimax Dream Air SE(SLAM版) | BigScreen Beyond 2e |
|---|---|---|---|
| ディスプレイ | 2×LCD、片目 2160×2160 | 2×Micro‑OLED、片目 2560×2560 | 2×Micro‑OLED、片目 2560×2560 |
| リフレッシュレート | 72–120Hz(試験的に144Hz) | 90Hz | 75 / 90Hz |
| 視野角(FOV) | 水平 110° / 垂直 110° | 水平 105° | 水平 108° / 垂直 95° / 対角 116° |
| レンズ | カスタムパンケーキレンズ | ConcaveView パンケーキレンズ | 改良版パンケーキレンズ |
| IPD調整 | 60–70mm | 58–72mm(自動) | 48–75mm |
| 総重量(前後) | 約440g(前185g/後255g) | 不明(前150g) | 不明(前107g) |
| パススルー | モノクロ | フルカラー | なし |
| アイトラッキング | あり | あり | あり |
| Lighthouse環境 | 非対応 (OVR space calibratorを使えばできる?) | 非対応 (OVR space calibratorを使った環境構築は可能) | 対応 |
| 無線 | Wi‑Fi 6E(PCストリーミング専用)、Wi‑Fi 2.4/5GHz、Bluetooth 5.3 | —(有線接続のみ) | —(有線接続のみ) |
| 特徴 | ストリーミング特化の高速無線通信 | 20万円で全部入り | 軽い、小さい、高画質 |
| 価格 | (未発表) | 202,139円(SLAM版) | 199,800円 ※別途BaseStationとSteamVR対応コントローラーが必要 |
現時点での悪い推測が当たってしまった場合、Steam Frameは以下のようなVRゴーグルになります。
- スタンドアロンのVRは、Steam Frame用に調整されたグラフィック(ほとんどQuest3やPico4用の使いまわし)
- 高グラフィックのPCVRはパソコンとの接続が必要(Quest3やPico4 Ultraと同じ)
- アイトラはサードパーティ頼り(別途費用がかかる可能性もあり)
- 2DゲームもAAAタイトルは性能的にスタンドアロンでは動作できない
これが現実になった場合、Steam Frameの魅力はどこにあるのでしょうか。
「フルトラの代わりにアイトラがついたPico4 Ultra」か
「無線接続できるDream Air SE」というのが今の正直な感想…
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